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【夕焼けエッセー】牛乳

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 牛乳は、我が家になくてはならないものであり、結婚して21年冷蔵庫で番人のごとく定位置に鎮座している。のどが渇いたらそのまま飲むも良し、夏場の暑いときはアイスコーヒーと割ったり、冬の寒い夜はココアを混ぜて温めたりと。

 思えば、幼少の頃、毎朝祖母は、家族の中で誰よりも早く起きて、宮沢賢治の詩のとおり、雨が降る日も風の強い日も、2時間近くかけて私たちが住む地域の牛乳配達をしていた。共にまくらを並べて寝ていた私が目を覚ますと、いつも隣の布団は空っぽであった。当時、手押し車にたくさんの180ccのビン牛乳を載せて坂道を上るのは、さぞや重労働だっただろうと今更ながらに思う。その祖母の口癖が「骨丈夫になるで、牛乳飲みない(飲みなさい)」だった。学校から「ただいま」と帰宅しても、夕飯前に「おなかすいたぁ」と言っても、大体いつもこのセリフが返ってきた。時々「牛乳以外に何かないの?」と祖母に言うと「牛乳が一番ええんよ」とズバリ直球の一言。

 そして、中学生になると、給食の牛乳を一口もつけずに残す女子が増えてきた。確かに、ご飯や麺類と合うか?と言われれば微妙な味わいではあったが、私は残すと祖母の教えに背く気がして、しっかり飲みきった。おかげで丈夫な骨になったのか、今まで一度も骨折したことがない。

 そんな牛乳信者の祖母も他界してもうすぐ10年、あちらの世界でも、独自の牛乳説法をしながら朗らかに配達しているだろうか。祖母に言いたい。「おばあちゃん、やっぱり牛乳はいいなあ」

福森真知(48) 主婦 京都府木津川市 

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