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【夕焼けエッセー】母の日

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 母の日の夜、実家の母は嬉(うれ)しそうに電話で話す。「出先から帰ったら不在票があって、あなたからのプレゼント、届くまでワクワクして待ったよ」。よかった。そんなワクワクのおまけつきで。

 「母さん、実は私もワクワクしてん」と電話口で伝える。そう、その日帰宅したら差出人未記入の不在票が届いていたのです。宅配ボックスがあるのに、それに入らないものって何? もしかしたらお花かも、と心はドキドキウキウキ。でも娘はカナダだし、息子はそんなことをするはずがない。

 だけど数年前一度だけ花をくれたことがある。遠く離れて暮らしているから、もしかして! 期待と妄想が膨らむ。そんな中、夕方遅く届いたのは親(しん)戚(せき)からの玄米。はぁ~。玄米。大きくて宅配ボックスには入らなかったらしい。いつもなら大喜びだけど今日はちょっと悲しい。期待しすぎた自分にがっかり。

 翌日、「母の日におばあちゃんにプレゼントしたよ」と嫌みたらしく二人にラインでもしようかと考えていたら、娘からカードが届く。

 I’m so lucky to have you as my mother.You are loved…(あなたがお母さんで良かった)。

 え~。文字がかすんでいく。娘が十代後半、絶交状態だった四年間。一言も話さずに一触即発のような日々だった。携帯電話を玄関に叩きつけたこともあった。修復するなんて思っていなかったけれど、お互いに大人になれた。そんな日からもう十年、神様こんな日をほんとにありがとう。娘よ、私こそあなたの母になれてよかった。

鍛治田千文(58) 堺市堺区

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