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【ミナミ語り場 人類学者・中沢新一さん】おばちゃんは「神」 生と死が近い千日前「お笑い」はここから

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【ミナミ語り場 人類学者・中沢新一さん】
おばちゃんは「神」 生と死が近い千日前「お笑い」はここから

千日前のビル街に囲まれた墓地に立つ中沢新一さん。「死者の国」とお笑いの深い関係を説く=大阪市中央区(安元雄太撮影) 千日前のビル街に囲まれた墓地に立つ中沢新一さん。「死者の国」とお笑いの深い関係を説く=大阪市中央区(安元雄太撮影)

 上町台地の北端に難波宮や豊臣秀吉といった権力が存在した期間は短い。出自も上下関係も不明な人々が台地の西側の低地に船場をつくり、さらに船場の南側にミナミが形成された。

 中沢さんは千日前に注目する。江戸時代の初期から、ここは墓地や焼き場、刑場がある荒涼とした「ネクロポリス(死者の国)」だったという。船場に接した道頓堀には文楽や歌舞伎などの芝居小屋が並んだが、その裏手はオフ・ブロードウェー。禁令下のキリシタンらムラ社会からはみ出た有象無象の人々が流れ込み、体を張った奇術や辻芸などあらゆる見せ物が行われた。

 「外の世界に行くことである死と、日常の生とが千日前では近接していた。死者のまわりに生者が集まり、泣き笑いを繰り広げた通夜のような世界から笑いの芸能が出てきました」

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 お笑いが死者の世界に通じると論じる中沢さんは、漫才の根源にも切り込む。ボケとツッコミというスタイルは、まじめな神と混ぜっ返しの神という、はるか南方から伝わった祭りの習俗に根ざしているという。

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