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【夕焼けエッセー】本屋消滅

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 「ブックス◯◯◯は、5月2日をもちまして閉店いたしました。長らくの間、ご愛顧いただきましてありがとうございました」

 なんと、ゴールデンウイークで大阪を離れている間に、駅前の書店が看板を下ろしてしまった。

 最近はライトノベルの棚を増やしたり、セレクトした文具を置いたりと、涙ぐましい努力をしていた。そんな町の本屋さんが、時代の流れに悪戦苦闘しているのを見るに忍びなく、雑誌やベストセラー、どこでも買える本はできるだけこの店で買うことにしていたのに…。ついに力尽きてしまったかと、貼り紙を前にしばしボウゼン。

 だって半世紀、50年間もあった店。子供の私も、若い娘だった私も、駅の改札を出てすぐに立ち寄れる本屋さんは“使える”存在だった。そりゃあ、時間つぶしの立ち読みもたまにはしたけれど。

 閉店お知らせの紙の前に、ボウゼンとしているのは年配の人がほとんどだったのも象徴的だった。本当に、これからの人は紙の本からどんどん遠ざかってゆく。

 惜しむ間もなく、素知らぬ顔でモノは次々と更新されてゆく。そのスピードの速さたるや…。次にこの場所にできるのは、本とはなんのつながりもないバラエティーグッズの店らしい。

 ブックス◯◯◯さん、今まで頑張ってくれて、ありがとうございました。紙カバー、記念として取っておきます。駅前の本屋消滅。この5月、私の町の小さな“事件”でした。

石浜 英子(56) 堺市南区

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