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【夕焼けエッセー】橋守隊(はしもりたい)

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 定年退職後に、橋守隊(はしもりたい)というボランティア団体に入って活動を続けている。現役時代に橋の設計や工事監督を経験した者が、4~5人のグループで市や町が管理されている古い橋の傷み具合をチェックし、その結果を報告して橋の維持管理に役立てていくものである。

 橋のコンクリートにひび割れがないか、あれはひびの幅は何ミリか、橋桁(はしげた)のさびは進行しているか…などいくつかの項目を確認し写真を撮る作業の繰り返しであるが、作業時にふと思い浮かべることがある。設計されたのは昭和30年代から40年代で、今と違ってコンピューターで安定計算をして図面を描くことなく、すべて手計算で設計し定規と鉛筆で図面を描かれた橋であることを思うと頭が下がる。また、近くの神社にふさわしい高欄(こうらん)であったり、雨が桁下にいかないように水切りをされるなど、工夫された部分を発見すると、担当された方の苦労が感じられ、土木技術者としての想いと情熱が伝わってくる。

 担当された方は、かなりのご高齢か亡くなられたかもしれないが、今、橋守隊が橋の傷み具合をチェックしていることはご存じないだろう。もしこのことを知ったら気恥ずかしく思われるのか、それともありがとうと感謝されるのか、聞いてみたい。

 思えば自分もいくつかの橋に携わってきた。その橋をいつかは誰かに見ていただくことになる。少なくとも橋が自分よりも長生きし、長く永く世の中に役立っていくようぜひ見守ってほしい。その時は心からありがとうと伝えたい。

藤原秀明(61)団体職員 兵庫県西脇市

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