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【虎のソナタ】“曲がり角”一つ間違えた藤浪…人を結ぶ糸は実に不思議、明暗分かれた虎ドラ1対決

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【虎のソナタ】
“曲がり角”一つ間違えた藤浪…人を結ぶ糸は実に不思議、明暗分かれた虎ドラ1対決

交流戦・西武戦で投げる藤浪=埼玉県所沢市のメットライフドーム 交流戦・西武戦で投げる藤浪=埼玉県所沢市のメットライフドーム

 ずいぶん昔のことですが、小山正明投手と世紀のトレードで阪神にやってきた大毎の山内一弘氏は阪神で一番驚いたのは「なんとまぁココの選手は練習をせんなぁ…」ということだった。

 だから…昨日の6月3日のヒサンな結末がどうのこうの…というつもりは全くない。

 ピヨピヨ記者の頃、その山内さんがガランとした甲子園で、自ら希望して早出特打をやるために甲子園にやってきていた(山内さんは前日の試合で打てなくて阪神ファンからかなりシビアなヤジを浴びせられていた)。練習するためには打撃マシンや練習球、それを操作する人手がいる。それを球団に願い出て彼は練習したのです。

 で、一汗かいてピヨピヨ記者の私めと2人…ガランとした甲子園のネット裏でこんな会話。

 「ヤマさん、ベラボウな金持ちだったらどんなことしたい?」

 すると山内さんは間髪入れずこういった。

 「そりゃあ甲子園の切符を全部買い占めて誰も入れないで俺一人がど真ん中のネット裏席に陣取り、一人でヤジ倒し、怒鳴り…そして『何をやっとんじゃ!』と思ってることを全部ぶつけるヮ」

 和歌山のドン・ファンというお金持ちの方が最近亡くなられて、話題になっていますが、アノ方の“自由”と山内というホームラン王の“孤独”を思い出して何か哀しかった。山内さんは愛知県起(おこし)工高から川島紡績をへてあちこちテストをうけてやっとオリオンズに入団した苦労人。毎朝、1時間ほどかけて自宅の織物機の細い糸を整備してから学校にでかけた。昼は空の弁当箱をあけて食べているようにみせかける…空腹。そんななかで野球を愛し、コツコツと練習し、やがて若き日の田淵幸一少年が山内さんのサインを貰ってから「野球少年」として夢中になり阪神タイガースの4番になるのである。

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