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【夕焼けエッセー】私は何様

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 老人会の囲碁将棋クラブに入れてもらっていて、週に1回13時から17時までの例会に参加している。会員は十数名で、将棋の場合は2面か3面で指している。ルールは、次手が指すまでの指し直しはOKだが、待ったはNOになっている。

 勝負事なので、勝つ日もあれば負ける日もある。通算成績は5勝5敗の5分ぐらいで丁(ちょう)度(ど)いい加減の腕前。勝って帰った日の酒は、それはそれは美(お)味(い)しい。負けた日はむかっ腹を立ててやけ酒を飲むのかといえばそうではない。「今日は、彼はさぞや美(う)味(ま)い酒を飲んでいるであろうなあ」

 と、思うと自然にこちらの酒も美味しくなる。勝っても負けても美味しい酒がいただけてまことにありがたい。

 最近、300メートルほど先にある集会所までの坂道が膝が痛んでちょっと辛くなった。それを察知したクラブの部長が、車で迎えに来てくれるようになった。

 開会の15分前に私の家の前に車を止めて、チャイムを鳴らさずにじっと車の中で待っていてくれる。もちろん、帰りも送ってくれる。まことに申し訳なくありがたい。こんな待遇は、プロ棋士でも受けていないと思う。

 部長との腕前は5分5分で丁度いい塩(あん)梅(ばい)。氏が負けて、勝った私を送るときの気持ちはどんなものであろうか。「棋敵は憎さも憎しまた恋し」と思っていてくれるであろうか。

 などと、独りいい気の私は何様か。

奥田登(90)京都府精華町

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