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乳幼児揺さぶられ症候群の〝根拠〟は本当か 「虐待」判断、司法で二分  

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乳幼児揺さぶられ症候群の〝根拠〟は本当か 「虐待」判断、司法で二分  

乳幼児揺さぶられ症候群のイメージ 乳幼児揺さぶられ症候群のイメージ

 児童虐待の摘発を求める社会風潮が高まる一方で、浮上した新たな議論。大阪には同プロジェクトに参加する弁護士が多いこともあり、大阪地裁の公判では、無罪を訴える弁護側と有罪を主張する検察側が鋭く対立している。

 37歳の母親の裁判でも、弁護側が同プロジェクトの指摘を元に揺さぶり行為を否定。これに対し、検察側は「スウェーデンの報告書はメンバーに虐待の専門家がいないなど重大な問題がある」と真っ向から反論し、3徴候だけではなく、脳全体の損傷などから総合的に虐待があったと判断したとした。

 この事件で、同地裁は、複数の医師の証言などから長女を揺さぶる暴行があったと認定。SBSを疑問視する意見も「被害状況と一致しない」「一般論にすぎない」などと次々と退けた。一方で、乳幼児の頭部負傷をめぐって無罪が出された公判もある。

 内縁女性の長女=当時1歳11カ月=の頭部に暴行して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた男性(37)のケースでは、同地裁が今年3月、「転倒などの偶発的事故でも死亡につながる硬膜下血腫ができる可能性は十分ある」として無罪を宣告した。

適切な判断基準

 虐待事件は、家庭内という“密室”で行われることが多く、立証が難しい。SBS理論が否定されると捜査のハードルがさらに上がることは避けられない。

 ただ、同プロジェクトの共同代表を務める甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は、3徴候を虐待と直結させる理論を疑問視した上で、「誤った判断で子供が親から引き離されるのは許されない」と指摘。「個々の事件の検証だけではなく、国が専門家を集めた理論全体の検証を行い、どのような症状があれば虐待を疑うべきなのか、診断の適切な判断基準を示すべきだ」と話している。

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