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【痛み学入門講座】「急性痛」と「慢性痛」…イライラ続く患者さんへ

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【痛み学入門講座】
「急性痛」と「慢性痛」…イライラ続く患者さんへ

 滋賀医科大学の福井聖教授は、機能的MRIなどを用いた脳機能画像を分析し、慢性痛の患者さんでは、中脳辺縁系(脳の中央にあり、「報酬回路」「快の情動系」と考えられている部位。報酬が期待できる場合に活性化し、快く感じる系として発達した)と大きく関係する「扁桃(へんとう)体」に質的な変化がみられるとしている。この扁桃体は不快、恐怖、不安、怒りといった「マイナスの情動」の発現に中心的役割を担っている。したがって、慢性痛でみられる食欲や意欲の低下などは、このマイナスの情動によると考えられる。

 従来、痛みは病気の一症状、病気を治せば痛みも自然にとれるはずだと、考えられてきた。この勘違いこそが、慢性痛への対策を遅らせてきた大きな原因なのである。さらには慢性痛の原因はひとつではなく、さまざまな要因が組み合わさっていることが多く、元来の痛みに加えて不安や恐怖などの心理的因子がその病態をさらに複雑なものに変化させているので厄介だ。また、患者さんの性格や生活歴によっても訴える痛みの程度に違いがあることが、診断や治療法の選択を困難にしている。

 「迷える慢性痛患者さん」は、ペインクリニックも選択肢のひとつにしてほしい。(近畿大学医学部麻酔科教授 森本昌宏)

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