【銀幕裏の声】“チャーチルを甦らせた男”アカデミー賞・辻さん、特殊メーク原点は「スター・ウォーズ」チューバッカの「髪の毛」
ハリウッド特殊メークの世界に変革をもたらした日本人がいる。公開中の映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で英首相、チャーチルのメークを手掛け、米アカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した京都府出身の日本人アーティスト、辻一弘さん(48)だ。米在住で現代彫刻家として活躍する辻さんが映画の公開に合わせ帰国した。“チャーチルを現代に甦(よみがえ)らせた男”に聞いた。(戸津井康之)
日本人初の快挙
米アカデミー賞史上、同部門で日本人が選ばれたのは初の快挙。辻さんにとって2007、2008年に続く3度目のノミネートでの受賞だった。
作品は、第二次世界大戦下、英国存亡の危機に立ち向かったチャーチルの勇気と決断を描いた大作。名優ゲイリー・オールドマンがチャーチルを熱演し、主演男優賞も受賞した。
このW受賞は、細身のオールドマンを恰幅(かっぷく)のいいチャーチルに変身させた辻さんのメーク技術の功績があってこそで、その事実をハリウッド映画人が認めた証しといえるだろう。
だが、3月4日、米ロサンゼルスで開催された同賞授賞式で、黄金のオスカー像を手にした辻さんは、ゲイリーに対し、「あなたと、この素晴らしい旅をできたことは本当に栄誉なことです。あなたなしではここには立っていない」と強調し、ゲイリーを称える姿が印象的だった。
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