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【夕焼けエッセー】わが家の防災の日

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 6年前の初春、マンション15階のわが家でテレビを見ていた小3の息子が「外にいる時地震あったらどこに行けばいいん?」と聞いてきた。防災用品は揃えたが、災害時の具体的な行動は子どもたちと話していなかった。夫は単身赴任中。子どもたちを守るのは私だ。

 「一番近い避難所は中学校。もし洪水が起きそうやったら家まで走って帰りや」

 地震や避難の話に5歳の娘はこわがったが、大切なことだからと話を続けていると、ハッとした顔で息子が言った。

 「忘れんように、毎年3・11に思い出そう」

 こうして、「わが家の防災の日」ができた。

 昨年3月11日の夜、食卓には非常食が並んだ。カンパン、アルファ米、缶詰に保存水。私はカセットコンロを用意し、子どもたちは非常用リュックを持って席につく。

 「さあ始めるで」。私が電灯を消すと、月あかりだけが互いの顔を照らす。すぐに子どもたちは、それぞれのリュックからロウソクやラジオなどをとりだし、私は保存水をやかんに入れコンロに火をつける。子どもたちは揺れる光で手元もおぼつかない中、賞味期限の短いアルファ米を選び、手際よく封を切ってお湯を注いでいる。食事をしながら被災時の集合場所を確認し合い、そしてかつての災害で多くの命が奪われ、今も避難所生活の方々がいることを話す。

 (非常食を体験し被災時のストレスを少しでも減らせますように。災害時に一人でいても、不安にのまれず落ち着いて動けますように)

 母としての備えを考える道標を下さった被災地の方々に感謝しながら今年も3月11日を迎えた。

三輪佳奈子(47) 大阪市都島区

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