【ボストンから一言(7)】「韓国語は斜め読みが難しい」 蓮池薫氏の翻訳本に感動する日韓バイリンガルの声
▼(6)日本の帝大や陸士を卒業、サムライ魂で韓国建国に尽力した朝鮮の秀才たち…から続く
米ボストンでは、日本から手に入れた本を読み終えると、去年7月に亡くなった韓国出身の友人、Hさんに貸していた。日本の文学を愛し、本の好みも私と同じだったからだ。
そして、2人で読後感を話し合うのが常だったが、いつも内容だけでなく、彼女は人物名まで覚えているので「恐るべき記憶力ですね」と感銘したことがある。
すると、Hさんは「日本語ほど情緒深い表現ができる言葉はありません。ですから私は3度読み返し、作者の意を解釈するようにしています」と語り、私は敬服させられていた。
6年前に蓮池薫氏の初めての翻訳本である「孤将」を日本から取り寄せた。
原作は、韓国の有名な作家、金薫氏の大ベストセラーである歴史小説「刀の詩」。
文禄・慶長の役で、怒涛(どとう)のごとく押し寄せる豊臣秀吉の大軍と、朝鮮水軍を率い巧みな戦術でついに勝利を治めた李舜臣(イ・スンシン)の物語だ。
李舜臣は、派閥争いに明け暮れている無能な大臣の讒言(ざんげん)や愚鈍(ぐどん)な王に翻弄され、兵の数で劣る自軍を勝利に導く方法として潮の流れと満ち引きを緻密に計算した作戦すら、戦闘経験もない愚かな大臣たちの反対にあい、ついには、拷問され牢につながれてしまう。
息子を案じる80歳を過ぎた母親が乗った小舟が沈み消息を絶ち、1人息子も戦死をする。
李舜臣が文禄の役から戦死直前まで書き続けていた日記が残っており、1人の人間として苦悩し葛藤し、そして絶望に陥る様を、蓮池氏は見事な日本語で描き出している。
■ハングルは読みづらい
この翻訳本を読み始めるやいなや、取りつかれたようにのめり込んでしまい、早速、Hさんに電話をして「急いで読み上げますからね」と興奮して言った。
すると、「日本からもう1冊、手にいれることはできますか。蓮池さんの売り上げに協力したいのです」と申し訳なさそうに返事が返ってきた。
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