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【浪速風】東日本大震災7年 犠牲者の声に耳を澄ます

東日本大震災で43人が犠牲になった宮城県南三陸町の防災対策庁舎
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 作家の吉村昭は20年以上、休養のため、毎年のように岩手県の三陸海岸を訪ねていた。明治29年、昭和8年と、過去にこの地を襲った大津波が気になりだした。やがて調べ始め、体験談を聞いて回る。バスを乗り継ぎ、呼び止めたトラックやライトバンに乗せてもらっての旅だった。

 ▼「三陸海岸大津波」(文春文庫)として読むことができる。抑制した筆致で被害を伝えた、記録文学の傑作である。原題は「海の壁」(昭和45年)。いわれなく命を絶たれた犠牲者たちに導かれて、吉村は旅をせずにいられなかったように思う。再文庫化の際、こう書いた。「今も三陸海岸を旅すると…多くの死者の声がきこえるような気がする」

 ▼吉村は平成18年に没したが、東日本大震災を後世に知ったとしたら同じことをしたのではないか。明日、発生から7年となる。すでに風化すらいわれる。そんなことでよいか。犠牲者は今も何かを訴えているのではないか。耳を澄ましたい。

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