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人魚のモデル「ジュゴン」の保全活動協議 鳥羽市で国際シンポジウム
絶滅危惧種「ジュゴン」の保全をテーマにした国際シンポジウムが22日、三重県鳥羽市で開かれ、日本やオーストラリア、フィリピンなど7カ国の研究者ら約100人が保護活動の在り方などについて話し合った。
ジュゴンは人魚のモデルと言われ、熱帯から亜熱帯に生息、日本では沖縄本島周辺で確認されている。環境破壊や違法な捕獲などが原因で、世界的に個体数が減少しているとみられる。
シンポは鳥羽水族館(鳥羽市)などが主催。日本で唯一飼育展示されている雌の「セレナ」が昨年、フィリピンからやって来て30年が経過したのを記念した。
シンポでは、各地で保護地区を設定して保全に取り組んでいるものの、モザンビークなどで不法行為が後を絶たない例が報告された。
ジェームスクック大(オーストラリア)のヘレン・マーシュ特別教授は基調講演で、気候変動など科学的な課題だけでなく、貧困など社会的な問題にも取り組みがなされなければ「100年以内にジュゴンは絶滅してしまう」と警告した。
また取材に応じた同水族館の若井嘉人副館長は「現状を知り、保護活動に今後どう関わっていけるかを考えるヒントにしたい」と抱負を語った。シンポは23日まで。