産経WEST

【通崎好みつれづれ】祇園の味、恵方巻の包み紙

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【通崎好みつれづれ】
祇園の味、恵方巻の包み紙

「いづ重」の恵方巻と包み紙=京都市東山区(寺口純平撮影) 「いづ重」の恵方巻と包み紙=京都市東山区(寺口純平撮影)

 京都の祇園石段下(東山区)に「いづ重(じゅう)」という寿司屋がある。明治45年、老舗「いづう」の大番頭を務めた北村重吉(じゅうきち)さんがのれん分けをして始めた店だ。現在は、4代目北村典生(のりお)さん(49)が切り盛りをする。鯖(さば)寿司をはじめとする押し寿司、巻き寿司、いなり寿司などの京寿司がどれもおいしいのはもとより、私はここの包み紙が気に入っている。

 当代の典生さんは若い頃から寿司屋を継ぐことを決めていたが、絵を描くのが好きで、嵯峨美術短期大学の日本画専攻に進む。子どもの頃から、自然と目に入る掛け軸など、近代以前の作家の作品に親しんでいたそうだ。祇園育ちならではだろう。短大では、平安の終わりから鎌倉時代にかけての絵巻物や肖像画など古画の模写を学んだ。卒業後は料理屋で修行後家業を継ぎ、その美意識は寿司作りのみならずパッケージデザインにも活かされている。

 この界隈、東山の地を守護する青龍が描かれた店の紙袋もご主人の作だ。大盤振る舞いの語源となる器「大盤」に描かれた青龍を模写した。この器は、近くの「古美術近藤」の店頭で魅せられ、近藤の先代金吾氏の「持っとき」の一声で手元に置くことになった逸品。江戸初期、寿司を盛って振る舞うのに使われたらしい。

続きを読む

このニュースの写真

  • 祇園の味、恵方巻の包み紙

「産経WEST」のランキング