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【弁護士会 地殻変動(6)】「左右」の対立から「上下」の断裂へ、脱イデオロギーの健全化好機にも

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【弁護士会 地殻変動(6)】
「左右」の対立から「上下」の断裂へ、脱イデオロギーの健全化好機にも

 「会社に入る方が確実だと思った」。愛知県の自動車部品メーカーに勤務する男性弁護士(38)は人生の選択についてこう語った。彼のように、組織に所属する弁護士はインハウスロイヤー(組織内弁護士)と呼ばれ、民間企業か国・自治体に勤めるパターンがある。

 男性が法律事務所に勤務したのは3年半程度。それから今の会社の法務部に転職した。「弁護士も結局は自営業。自分で顧客をつかまえないといけない。事務所経費はかかるし、給料の心配もある」。安定志向の末に行き着いた企業内弁護士。「弁護士会が行う人権擁護活動には全く興味がなかった」と明かし、弁護士会費も会社持ちとなった今、日々の生活で会務を意識することもない。

 裁判官や検察官とともに弁護士の法曹資格は、文系最難関とされる司法試験に象徴されるエリートの証しだ。その志望動機は時代によって変わる。社会正義、地位、金…。特に近年は残業を減らして家族と過ごす時間を大切にするワークライフバランスを重視する人も増え、組織内弁護士数の伸びにつながっている。

 日本弁護士連合会(日弁連)によると、弁護士登録者のうち、企業に勤める人は平成28年で1707人。この10年間で10倍以上の伸びを示し、司法試験合格者の進路の新たな選択肢として急速に存在感を増す。

反映されぬ意思

 かつて司法制度改革の議論の中で、弁護士の「経済的自立論」が叫ばれた。

 公害紛争で企業相手に集団訴訟を闘っても金もうけにはならない。社会正義のために手弁当で法廷に立つときもある。だから頭数を制限し、平時は“食い扶(ぶ)持(ち)”に困ることがないようにすべきだという理屈。結局、世間の支持は広がらず、弁護士増員を是とする司法改革の渦にのみ込まれた。

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