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【理研が語る】
豪雨いつ?予測には膨大な計算必要 もくもくとした高い雲、計算機中では“箱庭ゲーム”のごとく「カクカク」と…
「今日は一段と冷えますねえ」
いつの時代も、天気は会話を広げるのにもってこいの話題である。気象は科学分野の中でも日常と密接に繋がっていて、身近に感じてもらえることが多い。
最近の天気予報は高性能のコンピューターがやっているというのは、よく知られている話である。明日だけでなく、明明後日(しあさって)の天気も近頃は割と当たるなあと実感する人も多いのではないだろうか。それでもまだ、週末に台風がどこまで近づいてくるかについて油断はできないし、土砂崩れや浸水のような被害をもたらす豪雨は直前でないと分からないというのが課題となっている。
予測しにくい気象現象があるのはなぜか。端的に言ってしまえば、実際の現象を計算機の中で正確に表現するには、科学的知見も計算機の能力も足りていないからである。皆さんが目にするような「もくもく」とした背の高い雲の一つ一つは、計算機の中ではイラストのような箱形で表現されている。まるでうちの息子が最近夢中になっている、山を掘って家を建てる“箱庭ゲーム”のようにカクカクとしていて、現実とは程遠い。
雲ができる前から豪雨を予測できるようになるには、「どのくらい」だけでなく「どのようにして」強い雨がもたらされるのかを理解する必要がある。「もくもく」をつくる雲と空気の混ざり合いや、水の粒がぶつかり合いながら成長していく過程をシミュレーションの中でちゃんと再現したい。そのための計算量は爆発的に増えるので、計算機をもっと有効に活用したい、というのが今の私の研究課題である。
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