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レイテ沖“史上最大の海戦” 迫る無数の魚雷の影、沈みゆく艦に敬礼…“囮”重巡洋艦「最上」乗員の証言
今から73年前の昭和19(1944)年10月、日本海軍はレイテ沖海戦で米海軍と戦い壊滅的な打撃を受けた。映画「連合艦隊」(昭和56年)の中でも描かれた“囮(おとり)部隊”として、この戦いの渦中にいた重巡洋艦「最上」に乗艦し、撃沈される日本艦隊の最後の姿をつぶさに見ていた目撃者がいる。元海軍零式水上偵察機(零式水偵)搭乗員、加藤昇さん(95)。最上も沈没し、多くの乗員が戦死したが、加藤さんは駆逐艦に救助され、奇跡的に生還した。その後、水上偵察機「瑞雲」に爆弾を搭載して何度も出撃。幾多の死線をくぐり抜けてきた。“史上最大の海戦”といわれるレイテ沖海戦の真実を、歴戦の“水上機乗り”が振り返り証言した。 (戸津井康之)
洋上で奪われた“翼”
「レイテ沖海戦の直前、最上の艦載機の零式水偵2機が偵察後、陸の基地へと向かい、残る3機にも乗せられるだけ搭乗員を乗せて陸地へ向かいました。囮となる最上に艦載機は必要なかったですから。私ですか? 最上に残りました。艦と運命をともにするのが海軍士官なんです」
当時、海軍少尉で、零式水偵の機長として、最上に乗艦していた加藤さんは静かに語り始めた。
昭和19年10月。フィリピンのレイテ島周辺海域で、世界史上最大規模の海戦といわれるレイテ沖海戦が繰り広げられた。日本海軍は米艦隊、米軍機による総攻撃を浴び、戦艦「武蔵」をはじめ、主要な戦艦や空母、巡洋艦、潜水艦など多くの軍艦を失う。
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