産経WEST

【プレーバック大阪(6)】“過失”の末失われた命…「無痛分娩事故」が残した教訓

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【プレーバック大阪(6)】
“過失”の末失われた命…「無痛分娩事故」が残した教訓

無痛分娩事故で死亡した長村千恵さん(遺族提供) 無痛分娩事故で死亡した長村千恵さん(遺族提供)

 生まれたばかりの次女を抱かせると、意識がないはずの娘の頬を、涙が伝ったという。

 「自分を犠牲にしてでも娘を助けたんだと思う。千恵の魂は死んでいない」

 無痛分娩(ぶんべん)中に呼吸困難となり、10日後に死亡した長村千恵さん=当時(31)=の父、安東雄志さん(68)はそう信じている。

 大阪府警は10月、千恵さんの呼吸の回復に必要な処置を取らなかったことが死亡につながったとして、施術を担当した老木(おいき)レディスクリニック(大阪府和泉市)の男性院長(59)を業務上過失致死容疑で書類送検した。

 千恵さんにとって、2度目となる出産。腰を痛めていたこともあり、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩にすることを決め、友人らに相談してこのクリニックにたどり着いた。

 無痛分娩は脊髄に近い「硬膜外腔」に麻酔し、痛みを軽減するのが一般的。府警の調べや、病院側が作成した報告書によると、院長が挿入したカテーテルは本来より奥まで到達していたが、院長はそのまま麻酔を注入した。結果、麻酔は痛みを和らげるだけにとどまらず、呼吸困難を引き起こしたとされる。

 脊髄に近い硬膜外腔に麻酔をすることは、当然リスクを伴う。麻酔科医が出産に立ち会い、不測の事態にも対応できる-。同院のホームページにはそんな記述もあったが、実態はかけ離れたものだった。

続きを読む

「産経WEST」のランキング