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【理研が語る】昆虫の“思春期”、最適なタイミングを追求すると…生き物から学ぶセオリー

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【理研が語る】
昆虫の“思春期”、最適なタイミングを追求すると…生き物から学ぶセオリー

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 どんなゲームにもセオリー(理論)がある。野球なら「無死一塁では送りバント」、将棋なら「穴熊には端攻め」といったように。私が興味を持っているのは、生物学のセオリーである。

 一見とりとめがないほど多様化した生物たちにも、れっきとしたセオリーがある。サメとイルカはそれぞれ魚類と哺乳類で、生物の進化の枝分かれを記した系統樹では離れたところに位置しているが、どちらもよく似た流線形をしている。流線形が理論的に泳ぐのに最適な形状だから、それぞれ独自に流線形へと進化したのだ。こういった現象を収斂(しゅうれん)と呼ぶ。

 生物学というと実験に明け暮れるイメージがあるかもしれないが、「何が最適か?」というセオリーを学ぶためには、数学的計算をする必要もある。私が最近取り組んでいる問題は、「いつ思春期を始めるべきか?」というものだ。思春期といっても広い意味で、「大人の器官を作り始める時期」くらいに捉えてほしい。しかも、私が対象にしているのは昆虫である。昆虫は蛹(さなぎ)になるちょっと前から、幼虫の中で成虫の器官を作り始めている。私はこれを「昆虫の思春期」と呼んでいる。

 思春期が早すぎると体全体の成長効率が悪くなり、小さな大人(成虫)にしかなれない。逆に遅すぎると体は大きくとも性的成熟が不十分なため、健康な子供をたくさん作れる見込みが低くなってしまう。計算上ちょうどいいタイミングというものが存在する。実際にいろんな昆虫を見てみると、どれもほぼ最適なタイミングで思春期が始まっていた。体のサイズが千倍違う種でも、このセオリーに従っているというのが面白い。

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