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【理研が語る】ヒトの体の細胞は60兆 一個一個中身を調べ、生命活動の根幹「細胞分裂」と「分化」の仕組みを明らかに

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【理研が語る】
ヒトの体の細胞は60兆 一個一個中身を調べ、生命活動の根幹「細胞分裂」と「分化」の仕組みを明らかに

各細胞内でどの遺伝子が何本発現しているか? 各細胞内でどの遺伝子が何本発現しているか?

 われわれ多細胞生物は、もとは受精卵というたった一つの細胞が何度も分裂を繰り返して細胞の数を増やし、さまざまな機能をもつ細胞に分化していくことで一つの個体を形成している。ヒトの場合、1人の体は約60兆個もの細胞から成り立っている。

 それぞれの細胞の中のゲノム(全遺伝情報)は基本的には同じである。にもかかわらず、神経や内臓、皮膚といった異なる働きをもつ細胞に分化するのは、ゲノム上のたくさんの遺伝子のうち、遺伝情報が実際に使われている遺伝子が細胞によって大きく異なるからだ。

 一方、一般的に未成熟な細胞は分裂する速度が速く活発に増殖するが、分化が進むと分裂速度は遅くなり、成熟した細胞にまで分化すると分裂しなくなると考えられている。つまり、多細胞生物は細胞分裂と分化のバランスを精密に保っているといえる。その仕組みを調べるには、一個一個の細胞内でどの遺伝子が使われているかを網羅的に調べる必要がある。

 遺伝子に4種類の塩基の配列として記録されている遺伝情報は、その情報をもとにさまざまなタンパク質が合成されることで機能を果たす。その過程を遺伝子の発現という。ヒトのゲノムには2万以上の遺伝子が存在するが、そのおおよそ半分程度が一つの細胞内で、DNAの遺伝情報を写し取ったメッセンジャーRNA(mRNA)として発現していると考えられている。つまり、どんな遺伝子がどれくらい発現しているかを調べるには、細胞内で発現しているすべてのmRNAの塩基配列とその本数を数えてやればよい。

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