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【芸能考察】自惚れ・わがままはボブ・ディランだったのか、ファンだったのか…ライヴ盤「トラブル・ノー・モア」の衝撃

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【芸能考察】
自惚れ・わがままはボブ・ディランだったのか、ファンだったのか…ライヴ盤「トラブル・ノー・モア」の衝撃

福音派のクリスチャンに改宗した時期の宗教色満載の演奏を収めたボブ・ディランの「トラブル・ノー・モア(ブートレッグ・シリーズ第13集)1979-81」 福音派のクリスチャンに改宗した時期の宗教色満載の演奏を収めたボブ・ディランの「トラブル・ノー・モア(ブートレッグ・シリーズ第13集)1979-81」

 文字通り、ロック界の生ける伝説と呼ばれ、昨年、ロック歌手として初めてノーベル文学賞を受賞した米のシンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(76)だが、1962年のプロデビュー以来、全てが順風満帆(じゅんぷうまんぱん)なわけではなかった。

 ディランの熱心なファンでなくても、ロック音楽に詳しい人ならご存じだと思うが、絶頂期だった1966年7月には、米ニューヨーク州南東のウッドストック近郊でのバイク事故で重傷を負い、しばらく隠遁(いんとん)生活を余儀なくされた。

 そしてもうひとつ。時期でいえば79年から81年のことだが、突然、ボーン・アゲイン・クリスチャンとして洗礼を受け、キリスト教の教えに深く根ざした異色の作品群を発表したことだ。

 当時、こうしたディランの心変わりと、それに端を発する作風やメッセージの大きな変化に激しい嫌悪感を示したファンも少なくなった。

 音楽的キャリアにおいて最も物議を醸したそんな時期のライヴ音源が11月8日に登場した。「トラブル・ノー・モア(ブートレッグ・シリーズ第13集)1979-81」。ディランの貴重音源を調査・発掘するシリーズの最新作だが、現在まで間断なく続く彼の歩みを踏まえたうえで、今、本作を聞けば、当人のちょっとした気まぐれにファンが過剰に騒いでいただけだったことがよく分かる。

 ディランが洗礼を受け、福音派のクリスチャンに改宗したと公言したのは、78年9月22日、米シラキュース(ニューヨーク州)公演のステージでのことだった。その数カ月後、米紙ロサンゼルス・タイムズの有名な音楽記者だったロバート・ヒルバーン氏とのインタビューでもそれをはっきり認めている。

 当人によるその衝撃的な公言から約1年後の79年8月に発表された「スロー・トレイン・カミング」と、80年6月発表の「セイブド」、81年8月発表の「ショット・オブ・ラヴ」の3枚が、ロック・ファンの間でディランによる“キリスト教3部作”と呼ばれている3枚だ。

当時、問題作とされ…キリスト教色の強い新曲、確固たる自信と強い信念

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