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【ボクシング】
47歳、燃える浪速のジョー もう一度世界の頂点へ 辰吉丈一郎の飽くなき挑戦続く 鍛え上げられた鋼の体は今も健在
30年以上続けるルーチーン
辰吉は早朝5キロほど走り、夜にジムでトレーニングを行う。本人は「馬鹿の一つ覚え」と言うが、ボクサーになって以来、30年以上、このルーチンを続けている。
練習先の1つ、堺市内の堺東ミツキボクシングジム。辰吉は丁寧に拳にバンデージを巻きながら精神を集中させる。白いグローブに白いシューズ。いつもと同じ自らの名前が入った黒いTシャツ。周りには練習生や試合を控えたボクサーが黙々とトレーニングを続けている。

そんな中、辰吉は一言も発せず、リングに上がった。華麗なステップワークを見せ、シャドーボクシングを繰り返す。「言葉ではいわれへんけど、自分のリズムだったり、タイミングだったりをチェックしている」。
ドスッ、ドスッ。サンドバッグをたたく音は重くうなる。「試合がいつでもできるように体を作っておかないと。試合が決まってからではもう遅いからな。久々に試合をやるのは怖いし、不安もあるだろうけど、その不安を消し去るのが練習」
ジムにとって世界を知りつくしたレジェンドの存在はあまりにも大きい。辰吉は自分の練習をしながら、実は、若手の動きも細かく見ている。