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【正木利和のスポカル】しき嶋の大和心を…コスプレ好きな国学者、本居宣長

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【正木利和のスポカル】
しき嶋の大和心を…コスプレ好きな国学者、本居宣長

「鈴屋円居の図」(部分)本居宣長記念館 「鈴屋円居の図」(部分)本居宣長記念館

 そのころ、奇想の画家、曾我蕭白(そがしょうはく)が松阪にやってきて描いた「雪山童子図」など色鮮やかな絵画も出ていて、丁寧に見て行くと宣長の生きた時代の息吹が感じられる。

 とはいいつつも、やはり学者なのであるから、彼が書きつけたものの展示数も半端ではないほど多い。もともと、「書」は嫌いなほうではないので、宣長の特徴を見極めてやろうと、じっとながめてみたのだが、途中で不思議なことに気づいた。日記などにしるした楷書(かいしょ)の漢字、懐紙・短冊にしたためた和歌の漢字まじりのかな、「玉勝間」や「うひ山ぶみ」の草稿に書き付けた走り書きなどの筆蹟を見ていると、同じ人物が書いたものとは思えないほどの違いがあったのだ。

   □    □

 気になったので、本居宣長記念館の吉田悦之館長に聞いてみた。

 「確かに書を見る限り、まるで多重人格者でしょう? 実際、宣長という人は多くの顔を使い分けていました。たとえば薬箱を持てば医者になり、歌会や弟子に講釈をするときには(自らがデザインした黒い着物)鈴屋衣(すずのやごろも)を着るんです。ほらこっち」

 吉田館長が指すほうには「鈴屋円居(すずのまどい)の図」という一幅の掛け軸があった。

 「この絵のなかの黒い服の人物が歌会を仕切る宣長です。おもしろいのは、それを取り巻く人たち。町人なのに平安時代の貴族のような衣服を着けているでしょう」

 確かに、みな狩衣(かりぎぬ)姿である。

 道具を用いて気分を変え、その世界に入って行こうとするところなどをみていると、まるでコスプレではないか。

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