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貴重な「登録文化財」相次ぎ解体、理由は重い「管理費負担」…所有者手放すケース後絶たず

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貴重な「登録文化財」相次ぎ解体、理由は重い「管理費負担」…所有者手放すケース後絶たず

 国の登録有形文化財になっている建造物の解体が続いている。本来、近代の貴重な建築物が安易に取り壊されないようにするために導入された制度だが、修復費用の負担などを重荷に感じた所有者が建物を手放すケースが後を絶たないという。解体などで登録を抹消されたケースは平成8年の制度創設から計180件。自治体所有の建造物が解体された事例もあり、行政だけに頼らない支援の仕組みづくりも始まっている。

(渡部圭介)

 京都市の出版社「平楽寺書店」の社屋は昭和初期に建てられたレトロな外観が特徴だったが、老朽化が著しく、解体され今年9月に文化財登録が抹消された。

 同社取締役の井上知也さん(44)によると、修復も検討したが、将来にわたってかかる維持・管理費が懸念材料に。「小さな出版社で資金も潤沢にない。通りのシンボル的な建物だっただけに断腸の思いで解体を決めた」と明かす。

 中山道の宿場町として栄えた岐阜県の旧加納町(現岐阜市)では、平成17年に国の登録文化財となった旧町役場庁舎が老朽化のため解体され、今年2月に登録が抹消された。現在は更地になっている。

 庁舎を設計したのは、国会議事堂や京都市庁舎の設計に関わり関西建築界の雄として知られた武田五一(1872~1938年)。大正15年に建てられた庁舎はコンクリートの劣化が進み、外壁はボロボロで、放置すれば倒壊の危険性もあったという。名建築の解体を惜しむ地域住民の声を受け、所有する岐阜市は修復を検討したものの、数億円も費用がかかることが判明し、解体が決まった。

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