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【正木利和のスポカル】名画ガイド本のすすめ

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【正木利和のスポカル】
名画ガイド本のすすめ

原田マハさんの著書「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」 原田マハさんの著書「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」

 フリーダ・カーロの絵は色彩が強すぎ、どちらかといえば苦手な部類である。しかし、不思議なことに、この本を読んでぜひ、ひと目拝みたくなった。

 このテキストのなかで彼女がその絵を取り上げたのは、3年前に「女性の遺品」を被写体として撮り下ろしたシリーズで知られる写真家、石内都さんと対談したのがきっかけになっているそうだ。石内さんが撮影したフリーダ・カーロの遺品の写真を見せられたのだという。

 そのときに原田さんは、「急にフリーダに呼ばれているような気持ちになった」らしい。それで、半年後、「フリーダに会いにいくために」機上の人になり、メキシコシティの住居兼アトリエへと向かう。

 そこから、フリーダ・カーロの物語をつづっていくのだが、命を燃やし尽くすかのように描き続けた女流画家フリーダの生涯を読み進めると、原田さんが彼女の作品を見に行こう、と思い立った理由がきっとうなずけるはずである。

 そこに書かれているフリーダへの思い。それは、作家の個人的な感傷にすぎないのかもしれない。けれども、そこには「ほんとうにこの絵を見てほしい」と読者に呼びかける「熱」があるのだ。

 そのとき、ふとわき上がってきたのである。小さなころ、こんな美術の先生に受け持ってもらっていたら、もっと自分の世界は広がったのではないか、という思いが…。

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正木利和 正木利和 産経新聞文化部編集委員。大阪新聞から産経新聞社会部、運動部、部長を経て現職。運動部歴25年目となった一昨々々年の秋、念願かなって美術担当に。好きなものは以下の通り。富岡鉄斎の絵、ジャランスリワヤの靴、よく墨のおりる端渓硯(たんけいけん)、勇敢なボクサー、寡黙な長距離走者、「水曜どうでしょう」について語り合うこと。当コラムは、スポーツの話題にときどきカルチャーを織り交ぜて、「スポカル」。以後、おみしりおきを。

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