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【紀伊半島豪雨6年】父が守った林業と沢ワサビ 遺志継ぐ奈良・野迫川村の男性

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【紀伊半島豪雨6年】
父が守った林業と沢ワサビ 遺志継ぐ奈良・野迫川村の男性

父と育ててきた沢ワサビの手入れをする津田一馬さん=奈良県野迫川村 父と育ててきた沢ワサビの手入れをする津田一馬さん=奈良県野迫川村

 平成23年9月の紀伊半島豪雨で深刻な被害を受けた奈良県野迫川村の特産品、沢ワサビ。その再生に取り組んだ同村の林業、津田晃さん=当時(58)=が昨年10月、事故で亡くなった。村を元気づけようと奔走する父の背中を追い続けた次男の一馬さん(27)は、「父が残したものを守りたい」と、ワサビ田と林業、2つの「遺志」を継ぐことを決めた。

 「特産品で村を活性化しよう」。村森林組合林業研究会の会長だった晃さんは17年から過疎対策として、村のワサビ田で花摘みや収穫体験ができる1口1万円のオーナー制度を始めた。評判は上々で、毎年県内外から約40人が参加したという。

 だが、23年9月の豪雨でワサビ田に大量の土砂が流れ込み、栽培は絶望的な状況に。それでも、「ワサビ田を復活させて」とオーナーたちに励まされ、晃さんは立ち上がった。

 翌24年、三重県の大学を卒業した一馬さんが実家に戻った。ワサビ田の復旧作業を手伝いながら、沢ワサビの栽培を学んだ。沢ワサビは澄んだ流水に育つ。晃さんは「絶えずきれいな水を入れないといけない」と、田の水質管理を徹底。水が濁らないように、雨が降れば深夜でも一馬さんとワサビ田に駆けつけた。

 田の再整備に3年、ワサビの栽培に2年。5年を経てようやく昨年5月、被災後初めての収穫を行った。オーナーたちの喜ぶ姿に、晃さんもうれしそうに笑っていたという。

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