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抗鬱作用持つ物質を発見 鳥取大、肝臓で生成
鳥取大は21日、肝臓で脂質から生成される物質・BHB(βヒドロキシ酪酸)に、鬱(うつ)病を抑制する作用があることが動物実験で分かったと発表した。同大学の岩田正明准教授らのチームが発見し、論文は英科学誌電子版に掲載された。
BHBは空腹時や運動時など、体内で糖分が不足したときに代替のエネルギー源として生成される物質。
実験ではBHBを投与したラットと、投与していないラットに生活環境を変化させ続けるなどのストレスを与え、行動の変化を観察。投与したラットは鬱症状のラットに見られる行動が少なかった。また脳内の炎症を引き起こし、鬱病の原因とされる炎症性物質「インターロイキン1β」の発生が抑えられていた。
鬱病は、ストレスなどで脳内に炎症が発生し、神経と神経を連絡する脳内物質が正常に分泌されなくなるのが原因。これまでの治療は脳内物質を増加させる方法だったが、一部の患者には十分な効果が得られなかった。
新たな方法は炎症性物質の増加を抑えるもので、岩田准教授は「体内で生成される物質であるため、副作用も抑えられるのでは」と分析している。