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【銀幕裏の声】硫黄島へ護衛なき物資輸送 敵機かわしたつもりが 主翼に複数の弾丸…特攻覚悟、一式陸攻パイロットの証言(中)

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【銀幕裏の声】
硫黄島へ護衛なき物資輸送 敵機かわしたつもりが 主翼に複数の弾丸…特攻覚悟、一式陸攻パイロットの証言(中)

一式陸攻機長だった田中修さん。昭和20年、海軍中尉の頃(田中さん提供) 一式陸攻機長だった田中修さん。昭和20年、海軍中尉の頃(田中さん提供)

 「戦闘機の銃弾は真っすぐにしか飛びません。だから敵機の機首が向いている方向から、こちらの機体をスライドさせるようにして飛べば、銃弾の軌道からそらすことができ、弾は絶対に当たらないのです」

 田中さんは海面に向けて高度を下げながら速度をかせぎ、同時に機体を左右にスライドさせて、P38の追撃を振り切り、硫黄島の滑走路に着陸した。

 しかし、機体から降りた直後、冷や汗が出る思いをしたこともある。

 「銃弾をすべて回避したつもりだったのに、硫黄島の基地に降り立った後、『主翼にいくつも穴があいています!』と整備兵に何度か指摘されましてね。敵機の弾丸の跡でした」と田中さんは、また豪快に笑い飛ばした。だが、もし、被弾した場所がわずかにずれて燃料タンクに引火していたら、機体は空中で爆発していたかもしれないのだ。

因縁の対決

 田中さんが操縦していた旧日本海軍の一式陸攻、そして何度も追尾されたという米戦闘機P38には深い因縁がある。

 昭和18年4月、ラバウル基地からブーゲンビル島へ向かった山本五十六・連合艦隊司令長官の搭乗機が途中、待ち伏せしていた米軍戦闘機に撃墜され、山本長官は戦死する。

 このとき山本長官が乗っていた機体が一式陸攻で、撃墜した米戦闘機がP38だった。

 一式陸攻には零戦の護衛も付いていたが、米軍は日本軍の暗号を解読し、この日の山本長官の飛行経路はすべて把握されていた。

 当時、一式陸攻には不名誉なあだ名がつけられていた。

 米軍のパイロットたちは、防弾装備が弱く、被弾すればすぐに火を噴く一式陸攻のことを、「ワンショット・ライター」と呼んでいたという。

 田中さんは一式陸攻に手紙や物資などを積み、木更津の航空基地から硫黄島まで約1200キロの距離を護衛戦闘機なしで往復し続けた。

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