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【iPS創薬】
「新薬の治験に参加したい」皮膚を提供のFOP患者、山本育海さん、京都大の研究グループに期待
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、筋肉の中に骨ができる難病の進行を抑える効果のある治療薬の候補を見つけた京都大の研究グループに、皮膚細胞を提供した兵庫県明石市の山本育海(いくみ)さん(19)が1日、同市内で記者会見した。山本さんは研究グループに自らの細胞を提供した経緯があり、「新薬の開発はもっと先のことだと思っていた。可能なら新薬の治験に参加したい」と喜びを語った。
山本さんは小学3年のとき、進行性骨化性線維異形成症(FOP)と診断された。平成22年に山中伸弥教授が所長を務める「京都大iPS細胞研究所」に皮膚細胞を提供。山本さんは「山中教授を信じた」と当時を振り返る。
しかし、その後も背中や腰などで筋肉の骨化が進行し、起き上がるにも痛みが伴うという。
グループが近く治療薬の治験を始めるのを受け、山本さんは「研究者の皆さんはすごい。とても感謝している」と述べ、「頑張ればいつかは治せる日が来る。FOPをはじめ、全ての難病が治ることが本当のゴール。1日も早く薬が完成するように患者として協力したい」と期待を寄せた。
会見には母の智子さん(43)も同席し、「山中先生たちに出会えてよかった」と話した。