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全国学力テストのデータ、文科省が研究利用を解禁 科学的根拠に基づく教育施策づくりの機運高まる

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全国学力テストのデータ、文科省が研究利用を解禁 科学的根拠に基づく教育施策づくりの機運高まる

 小学6年生と中学3年生を対象に実施された「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の集計データの研究利用が今年度から解禁され、その結果を教育施策に反映させようとする機運が高まっている。統計研究の結果を「科学的な根拠(エビデンス・ベースド(EB)」として施策に反映させる手法で、海外で幅広く用いられている。大学や教育委員会などに限って貸し出し、教育施策の改善に生かしてもらうという。

 4月の学力テストには国語と算数・数学の2教科で小6と中3の計約212万8千人が参加。公的な大規模調査で、教育の現状などを示す貴重なデータだが、これまでは行政記録として扱われ、研究や分析、統計への活用ができなかった。

 教育施策の改善に生かすため、文部科学省は今年度から、EBを取り入れ、貸与・公表するデータの種類や範囲をホームページで公表している。

 EBは1990年代の米国で臨床医学、教育、開発などの分野へ広がり、今ではデータ解析から根拠を作るまでの作業は研究者が担い、政策立案は行政が行うという役割分担が一般化している。

 97年に貧困削減政策を始めたメキシコでは「政権によって教育への取り組みが変わるのはよくない」とEBによる教育政策を実行。2001年には財政難を抱える米国で、当時のブッシュ大統領が施策にEBがなければ教育予算をつけないと表明した。

 学力テストのデータ活用は同様の取り組みだが、課題もある。たとえば、対象学年の受検時点の成績をみた「横断調査」のため異なる学年や異なる調査年の結果を比較できない。ベストセラー「『学力』の経済学」の著者、中室牧子・慶応大准教授は、教育施策と学力の因果関係を把握するために「今後は同じ子供を長期間みていく『追跡調査』が必要」と指摘する。

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