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四万十の天然青のりピンチ、「温暖化が影響」専門家 不漁深刻、産官学で新事業

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四万十の天然青のりピンチ、「温暖化が影響」専門家 不漁深刻、産官学で新事業

 お好み焼きやたこ焼きに欠かせない青のりの原料のうち、高級品として知られる四万十川(高知県四万十市)の天然スジアオノリが近年、深刻な不漁に見舞われている。特に今年は「市場に出す分が確保できない前代未聞の状況」(地元漁師)。危機感を深めた地元の産官学が連携し、新たな栽培事業に乗り出した。

 スジアオノリは海水と淡水が混じる汽水域に生息し、長さ50センチ以上にもなる筋状の藻類。環境に影響されやすく、安定した生産は難しい。市場に出回るのは多くが徳島県産の養殖物。吉野川などで年間70~80トンが生産されている。

 一方、豊かな香りや食感が特徴的な四万十川の天然物は1キロあたり1万円以上で取引される高級品。京菓子にも使われる。冬から春にかけて収穫されるが、四万十川下流漁協の沖辰巳組合長(58)によると、30年前に年間30~50トンあった水揚げ量は次第に減少し、最近は1トンに満たない年も目立つようになった。

 高知大海洋生物研究教育施設の平岡雅規准教授は「温暖化による海水温の上昇が原因」と分析する。平成20年以降、当時の高知大生だった四万十市農林水産課の辻祐人さんと汽水域の水温やノリの生育を調べて裏付けた。今年も水温が高いという。

 漁師らは高知県が約40年前に着手した港湾工事の影響も指摘。浸水対策で河口付近の整備が続くが、21年、それまで幅500メートルほどの河口の半分以上を隔てていた砂州が消滅。汽水域に大量の海水が入るようになり、県が復元工事を進める。

 漁師や平岡准教授が栽培事業を始めたのは昨年11月。約200枚の網に種を植え込み川に放流し、一定量の収穫を見込んだが、今回は育ちが悪かった。「安定した生産には時間がかかりそう」と沖組合長。「四万十川の恵みを残すために、試行錯誤を続けたい」と話している。

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