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【熊本地震1年】阿蘇立野病院が診療再開 住民安堵、院長「再生への灯火に」

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【熊本地震1年】
阿蘇立野病院が診療再開 住民安堵、院長「再生への灯火に」

診察する上村晋一院長=12日午後、熊本県南阿蘇村の阿蘇立野病院(宮沢宗士郎撮影) 診察する上村晋一院長=12日午後、熊本県南阿蘇村の阿蘇立野病院(宮沢宗士郎撮影)

 全140人の職員の解雇も余儀なくされ、昭和54年開院以来、初めての危機を迎えた。上村院長は「地域医療の役割を果たせなくなり、苦しい1年だった」と振り返る。

 ただ、かかりつけ医としての責任を果たそうと、被災約1カ月半後には、村内の特別養護老人ホームの一角を借りる形で診療所を開設。解雇した看護師ら約30人も呼び戻し、内科や外科の診療を始め、村外の仮設住宅に避難する住民らを巡回診療して回ったという。

 診療所は医療機器が十分でなく、エックス線検査もできないが、それでも住民は頼ってくれた。「やっぱり長年診てくれている先生が安心」「先生と話すと立野の暮らしを思い出す」。そんな声を聞き、上村院長は「皆さんが帰りたい場所で病院を再開する」との思いを強くした。

 そして、被害が少なかった1棟の修復を終え、この日、1年ぶりに診療業務を一部再開させた。再開にあたり、看護師や職員らを集め、上村院長は「今日の良い天気のように、晴れ晴れとした気持ちで地域のために安心の医療を届けよう」と言葉をかけた。

 病院のある立野地区は阿蘇大橋や阿蘇長陽大橋の崩落・損壊など、甚大な被害を受け、357世帯877人の大半が地区外避難を余儀なくされている。夏頃には阿蘇長陽大橋が復旧する予定だが、地区に住民が戻るかは不透明だ。

 こうした中での病院の再開に、受診した藤本さんは「病院が再開すれば立野に戻る人も増えるはず。早く全面復旧してほしいです」と期待を寄せている。

 病院側もスタッフが足りず残る補修作業など課題は山積しているが、上村院長は「住民は病院に『いつでも帰れる』との安心感を求めている。今日がまた、始まりです」と話していた。

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