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【関西プチ遺産】都会の真ん中に静寂な世界「玉出の滝」

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【関西プチ遺産】
都会の真ん中に静寂な世界「玉出の滝」

新清水寺の境内にある「玉出の滝」=大阪市天王寺区 新清水寺の境内にある「玉出の滝」=大阪市天王寺区

 3本の樋から清らかな水が流れ落ちている。グルリと見渡すと周囲は石垣で囲まれ、近代的な建物は目に入ってこない。耳に入るのは、下に落ちる滝の水音だけ。大阪市内にありながら何とも静寂な世界だ。

 ここは新清水寺。正式には有栖山清光院清水寺(ありすさんせいこういんきよみずでら)という寺の境内である。寺の創建年代は明らかでないが『摂陽奇観』巻11には寛永17(1640)年に延海という僧が四天王寺の秋野坊の土地を借りて仏舎を建て、京都の清水寺からの聖徳太子作の千手観音を本尊としたとある。上町台地西側の高所にあり眺望がよく、京都の清水寺を模して本堂の前には舞台を設けた。

 清水寺といえば音羽の滝。ここ新清水にも滝がつくられた。『大阪府全志』(1922年)には「堂前の低地には瀑布(ばくふ)を設けて音羽の瀧と呼べり。寛政八(1796)年の夏初めて作り、涼みし者より二十四文を徴せしといふ。」とある。滝をしつらえた当初は、清水寺と同じく「音羽の滝」。涼み料=見物料として24文を取っていたというから、お商売の方も上手だったようである。江戸時代後期には銭湯10文、かけ蕎麦(そば)16文。社会が異なるので単純に比較できないが、今の世ならわが博物館の入館料600円くらいといったところか。

 滝の水は四天王寺金堂下の白石玉出の水を引いているとのこと(南木萍水「新清水の瀧と有栖の名水」『上方』68 1936年)。

 玉出の滝は戦災を受けたが、昭和24(1949)年に修復され現在に至っている。(伊藤純・大阪歴史博物館)

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