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【関西の議論】
「ゴミ屋敷問題」完全解決は“北風”ではなく“太陽”で-大阪市浪速区、粘り強い交渉で解決 “割れ窓理論”で治安は向上
隣人の女性は「お隣さんのごみには10年以上苦しまされてきました。それが解決するなんて信じられません」と話す。
「汚い」「怖い」イメージ払拭 〝割れ窓理論〟で治安向上へ
これまで、浪速区といえば「汚い」「怖い」というイメージがあり、玉置区長はそうしたイメージの払拭を掲げてきた。かつて米ニューヨークなどの治安向上の理念となった「割れ窓理論」をあげ説明する。
「建物の窓が壊れているのを放置すると、ガラスだけでなく、落書き、ごみのポイ捨てなど軽犯罪が起こりやすい環境になり、やがて凶悪犯罪も多発するようになる、という悪循環に陥ります。軽犯罪を徹底的に取り締まる、汚いものを放置しない、ということを粘り強く続けていくことが治安向上の第一歩です」
さらにこう続けた。
「これまでは、『区役所に行っても何もしてくれない』といわれてきましたが、生活の主役である区民を絶望させてはダメ。行政がやらずしてどこがやる、という気概を職員は持たなくてはなりません」
ごみ屋敷問題の解決もその一環だが、浪速区ではほかにも、法律や条例だけでは対処しきれない問題に取り組んできた。
たとえば、紙などの廃品回収業を営む業者。昼夜を問わず廃棄物が持ち込まれ、作業場周辺は騒音と悪臭が絶えず、公道にも廃品が散乱しているのが常態化しており、付近の保育所から「せめて子供が昼寝をする時間の作業はやめてほしい」と区に相談がもちかけられた。