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【水中考古学へのいざない(10)】潮流速く“海のギャング”もいる「魔の海」 黒船「ハーマン号」を探す

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【水中考古学へのいざない(10)】
潮流速く“海のギャング”もいる「魔の海」 黒船「ハーマン号」を探す

ハーマン号を調査中の筆者(日本水中考古学調査会提供) ハーマン号を調査中の筆者(日本水中考古学調査会提供)

 1988(昭和63)年8月、私は千葉県勝浦市の川津港から1キロの沖合にいた。目的は、海底の砂に埋もれている米大型蒸気外輪船「ハーマン号」を探すことだった。それまでの調べから、その海底には目指す船が沈んでいることは確実と思われた。実際、潜ってみると…。

 †“関東の鬼ヶ島”で黒船発見!

 ウエットスーツを身にまとい、タンクを担いで、小さな漁船から青黒い海に飛び込んだ。

 水深は約10メートルと浅いが、海藻がうっそうと茂り、視界をさえぎっている。藻の密林をかき分けながら、やっとの思いで海底に降り立つ。すると、先を行く「稲さん」こと海上自衛隊出身の潜水のプロ、稲野辺忠治さんが「こっちへ来い」と手招きをしている。近づいてみると、赤茶色に錆(さ)びた太い金属の棒が、海底からまっすぐ突き出すように立っていた。

 「くっ、黒船だ!」。驚きと興奮で鳥肌が立った。探し求めていた船がこんなにも早く見つかるとは…。船の残骸は長さ23・5メートル、幅10メートルの範囲に横たわっている。海底には無数の金属棒に加え、大型の金属塊や船体材があることも確認できた。

 こう書くと、「なんだ、海底調査なんか楽勝じゃないか」と誤解を与えてしまいそうだが、何度潜っても海は怖いものだ。この現場は水深こそ浅いが、周辺海域は「関東の鬼ヶ島」と呼ばれる岩礁地帯。おまけに潮の流れが速く、私も幾度か溺れかけたことがある。霧、赤潮、冷水塊、台風…と海況の変化もめまぐるしい「魔の海」なのだ。

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