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奈良・橿原の新堂遺跡で最古級の須恵器70点超出土…当時の生産体制を考える第1級資料
奈良県橿原市の新堂(しんどう)遺跡で、5世紀前半につくられた最古級の須恵器(すえき)の壺(つぼ)や甕(かめ)などが70点以上見つかり15日、橿原考古学研究所などが発表した。最古級の須恵器がこれほどまとまって見つかるのは珍しく、同市教委は「当時の須恵器の生産体制を考える第一級の資料」としている。
須恵器は登り窯で焼かれた陶質土器で朝鮮半島から製法が伝わり、国内では5世紀前半から陶邑窯(すえむらかま)跡群(大阪府)などでつくられるようになったとされる。今回見つかった須恵器は壺や甕、高坏(たかつき)、器台(きだい)などで、中には朝鮮半島南部の特色を持つもののほか、日本オリジナルと考えられるものもあった。
高級木材コウヤマキ製の一木造りの精巧な椅子(高さ約12センチ、幅35センチ)や馬の骨も出土。市教委は「これまで知られていない須恵器の窯が近くにあった可能性がある」、橿考研の岡林孝作調査課長は「当時最先端の須恵器を使い、馬を乗り回す先進性の高い人たちが遺跡周辺に住んでいたことが考えられる」としている。
出土品は「歴史に憩う橿原市博物館」で6月30日まで展示。今月26日と3月4日の午後1時半から、成果報告会を開催する。問い合わせは市教委文化財課((電)0744・47・1315)。