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【西論】今年の神話連載 「女性の視点」で読み解く現代

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【西論】
今年の神話連載 「女性の視点」で読み解く現代

須佐之男命やクシナダヒメを祭る八雲山の巨岩。新居を建てた地とも伝わる=島根県雲南市 須佐之男命やクシナダヒメを祭る八雲山の巨岩。新居を建てた地とも伝わる=島根県雲南市

 もう20年も前のことで、伝承のような話ですが、と前置きして新潟県糸魚川市の幹部職員がこんな話を始めた。商工会議所を通じて島根県出雲市に姉妹都市提携を打診したところ、「格が違う」と断られたというのである。格とは市勢のことではない。顕彰しようとする女神様の格が違うというのだ。

 糸魚川市が顕彰しているのは沼河比売(ぬなかはひめ)(奴奈川姫)。大国主命が歌で求婚し、返歌をして結ばれたと古事記が書く高志国(こしのくに)(北越)の女神である。大国主命が兄神たちを追い払って国造りの神になろうとしていたころで、適妻(むかひめ)(正妻)に須佐之男命の娘、須世理●売(●=田へんに比)(すせりびめ)を迎えていた。2人の新居があった場所が現在の出雲市。だから糸魚川市は、大国主命の縁つながりで姉妹都市提携を考えたのだが、正妻と第2夫人では「格が違う」と言われたのである。

 「今は3都市交流をしていますよ。大国主命とヌナカハヒメの間に生まれた建御名方神(たけみなかたのかみ)は今、諏訪大社のご祭神ですから、長野県諏訪市を交えた3市でイベントを重ねています。だから仲は悪くないんですよ」

 幹部職員はそう言って笑った。神話は、今の世でも日本で生き続けているという好例である。

 ◆伴走者がいた英雄たち

 どこの国でもそうだが、神話はその国の成り立ちを伝えるもの、つまりは建国神話である。日本ではまず、イザナキノミコトとイザナミノミコトが国生みをして「大八嶋(おおやしま)」と総称される国土をつくり、神生みをして多くの神を誕生させた、と古事記は書く。

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