記事詳細
サンゴ漁の文化守れ 高知で乱獲対策の規制強化に増殖実験 漁師ら研究機関と連携
宝飾品や観賞用に加工され、中国、台湾で人気が高い宝石サンゴの密漁や乱獲による資源減少が懸念されている。「長くサンゴ漁の文化を受け継ぎたい」と、日本有数の産地・高知県では漁の規制が進み、サンゴ漁師らが研究機関と連携して増殖実験を始めた。
▽価格高騰
良質なサンゴの原木が採れる高知県では、明治時代から本格的な漁が始まった。重りを付けた網の束を海底に下ろし、潮の流れに任せて絡め採る伝統的な漁法が今でも続く。
現在、東京や長崎など6都県でサンゴ漁が許可されており、高知の許可数は360件以上と全体の9割を占める。原木の入札会が開かれるのも高知だけだ。
中国などで需要が高まり価格が高騰したのは5年ほど前から。日本珊瑚商工協同組合(高知市)によると、高知沖で採れたサンゴの2015年の平均単価は1キロ当たり約160万円で、10年前の約9倍に。同年の入札会での総取引額は約58億円と過去最高を記録した。他の漁からの転向も相次ぎ、サンゴ漁師はここ数年で大幅に増えた。
▽規制強化
一方、中国船の密漁が問題になるなど、国内外で資源の減少が危ぶまれるようになった。高知県は漁を徐々に厳しく制限して対応。操業時間や海域を決め、漁獲量の報告を求めている。県漁業管理課の岡見卓馬主査(31)は「漁が成り立つぎりぎりまで規制を強化しているのが現状だ」と話す。