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「死ねば楽になれる」元報道記者も追い込まれた…過労自殺は「誰にでも起こりうる」

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「死ねば楽になれる」元報道記者も追い込まれた…過労自殺は「誰にでも起こりうる」

過労自殺を図った経験を振り返る男性 過労自殺を図った経験を振り返る男性

 電通の新人女性社員が過労で命を絶ってから、25日で1年になる。厚生労働省が今年初めて作成した「過労死等防止対策白書」によると、昨年度に労災認定した過労自殺は未遂を含め93件に上った。安倍晋三首相が長時間労働の是正に全力を挙げる意向を表明するなど、国も社会問題として対策を進めるが、一方で「過労自殺は弱い人間のすること」という認識も根強い。だが過去に過労から自殺を図った男性は「誰にでも起こりうること」と強調。日本精神神経科診療所協会会長で精神科医の渡辺洋一郎氏も「疲労困憊(ひろうこんぱい)に陥れば精神状態が鬱になるのは当然」として、不調が表れた場合の早期受診を呼びかける。(藤井沙織)

 「心身ともに強いと思っていた自分でも追い込まれた」と話すのは地方放送局で報道記者だった男性(48)。激務に追われた約20年前に自殺を図った。一命を取り留め、今は報道の現場を離れているが、部下が同じ状況にならないよう「現場をフォローできる管理職になりたい」と話す。

失われた判断力

 29歳の夏の金曜の夜。「死ねば楽になれる」とふと浮かんだ思いは、確固たる決意になった。

 週末に実家で両親と食事をし、1人暮らしのマンションに帰ってから掃除をした。週明けの月曜日、ビニールひもを何重にも巻いて玄関上部の金具にくくり付け、脚立に上った。「お父さんお母さん、ごめんなさい」。涙がこぼれた。職場からの連絡で家族に発見されたのは数時間後。ひもを何重にもしたことで首にかかる重さが分散され一命を取り留めた。

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