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【通崎好みつれづれ】京都のパン屋さん

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【通崎好みつれづれ】
京都のパン屋さん

たっぷり具が詰まった「まるき製パン所」のコッペパン(彦野公太朗撮影) たっぷり具が詰まった「まるき製パン所」のコッペパン(彦野公太朗撮影)

 「京都市の一世帯あたりのパン消費量は、全国一」。この話題はいろいろなところで報じられているので、すでに広く知られているかもしれない。京都でいかに早くからパン文化が根付いていたか、私がそれを知ったのは中学3年生の時である。

 わが家の宗派は浄土真宗だが、中学はキリスト教主義を標榜(ひょうぼう)する同志社中学校に通った。ここでは、週1回「聖書」の授業がある。3年次には「主の祈りを英語で暗唱せよ」という課題が与えられた。「主の祈り」とは、「天にましますわれらの父よ」で始まる主祷文である。

 英語が苦手だった私はなかなか覚えられず苦労したが、「Give us this day our daily bread(われわれの日用の糧を今日も与えたまえ)」の一文だけはすぐに覚えられた。先生が「これは、パン屋の『進々堂』の包装紙に書いてある」と説明されたからだ。そして、進々堂の創業者は、内村鑑三の弟子として聖書と近代思想を学んでその精神をパン作りに反映させた、また日本で始めてパリに「パン留学」を果たし、全国に先駆けフランスパンを販売した人物だと聞いた。

 そんなわけで、京都の庶民に大正時代からパン食習慣が溶け込んでいたことを知っていた。わが家も、子どもの頃は卓袱台(ちゃぶだい)を正座で取り囲む典型的な昭和スタイルの食卓風景だったが、朝食にパンとコーヒーを欠くことはなかった。

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