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【ビジネスの裏側】
製薬会社の営業、受難の時代 ジェネリック医薬品普及と新薬減少でMR人員過剰に
新薬に関する専門的な情報や研究成果などを医師らに伝える、製薬会社の医薬情報提供者(MR)が減少している。安価なジェネリック医薬品(後発薬)の普及が進み、各社とも経営効率化に迫られていることなどが要因だ。インターネットによる情報提供サービスや人材派遣の充実といった効率化もMR削減に拍車をかけている。(阿部佐知子)
減少するMR
MRは、業界団体の実施する試験をパスした専門職。高給で安定した職種との見方が一般的だ。
だが、公益財団法人のMR認定センターの調査によると、平成27年度の国内のMRは前年度比533人減の6万4135人。2年連続の減少となった。25年度は過去最高の6万5752人だったが、その後2年で計1617人減少した。
要因として挙げられるのが、MRを必要とする新薬が減っていることだ。基本的な疾患では有効な治療薬がほぼ出そろった一方で、研究開発費の上昇などにより新薬の発売は低迷している。
さらに政府が医療費抑制のため、新薬よりも後発薬の普及に力を入れていることも逆風だ。普及率を現状の約6割から平成32年度末までに80%に引き上げる目標を掲げている。後発薬はすでに医療現場に浸透しており、新薬のような細かな情報提供は必要ない。売り込みはMRではなく、医薬品卸販売担当者(MS)で可能だ。