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【芸能考察】アジア次々1位…宇多田ヒカル「Fantome」に世界が熱狂し始めた J-POP究極の理想型

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【芸能考察】
アジア次々1位…宇多田ヒカル「Fantome」に世界が熱狂し始めた J-POP究極の理想型

宇多田ヒカルさんの6作目のアルバム「Fantome(ファントーム)」 宇多田ヒカルさんの6作目のアルバム「Fantome(ファントーム)」

 1960年代から70年代にかけて、歌謡曲に代表される日本の大衆音楽の作り手たちは、海の向こうからやってきたロック音楽のような洋楽に憧れ、その影響を多分に受けた作品作りに励んだ。

 今では笑い話だが“日本語でロック音楽を歌うことは正しいか?”といった論争まで起こしながら試行錯誤を繰り返すなか、80年代に入ると質の高い日本独自のロックや和声ポップスが増え始めた。

 そして88年に開局した東京・六本木のFM局、J-WAVEの取り組みによって、そんな“和洋折衷”スタイルである日本のロックやポップスが「J-POP」と呼ばれるようになる。

 90年以降になると、ビートルズやレッド・ツェッペリン、クイーンといった洋楽ロックやポップスの王道を聴いて音楽好きになるのではなく、生まれたときからJ-POPしか聴かずに育ち、プロの歌手やバンドになる世代が急増。

 2000年以降になると、J-POPは日本独自のサウンドとしてさらなる進化を遂げ、いまや前述した洋楽ロックやポップスの王道について「知らないし聴いたこともないし興味もない」と公言する若者がごく普通になった。彼らにとってはポール・マッカートニーもエルトン・ジョンも、学校の音楽室に肖像が飾られているバッハやベートーベンと同じ“昔の偉い音楽家”のうちのひとりのようだ。

 しかし、こういう作品を聴くと“別にそれでもいいんじゃないか”という気がしないでもない。J-POPがここまで進化(深化でもある)するとは思ってもいなかった。90年代以降の日本を代表する女性シンガー・ソングライター、宇多田ヒカルさん(33)の約8年半ぶり6作目のアルバム「Fantome(ファントーム)」(http://www.utadahikaru.jp/)のことだ。

▼宇多田ヒカル公式サイト「http://www.utadahikaru.jp/」(外部サイト)

 98(平成10)年に衝撃のデビューを果たし、翌年に発売したデビューアルバム「ファースト・ラブ」のCDが約870万枚を売り上げて以降、数々の卓越した自作自演曲でもって、J-POPの概念や範疇(はんちゅう)を少しずつ押し広げてきた彼女。

 2010(平成22)年に「人間活動」と称して活動休止を発表。2016(平成28)年にアーティスト活動を再開して初となる新作だが、1曲目の「道」(大手飲料メーカーのCエム曲)の歌い出しを聴くだけで、他のJ-POPとは明らかに異なる質感の音世界の扉が開く。

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