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増える老老介護 精神的に追い詰められ…

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増える老老介護 精神的に追い詰められ…

 老老介護の末、介護疲れなどから認知症の夫や妻を殺害する事件が後を絶たない。その後の公判で情状酌量され、執行猶予が付くケースも増えているが、平成37年には約730万人が認知症になる見込みで、対策は喫緊の課題となっている。

 今回の八尾嘉明被告の公判では、被告が長年にわたり老老介護を続けた末、精神的に追い詰められていった過程が明らかにされた。

 妻の正乃さんは長年、統合失調症を患い、徘徊(はいかい)を繰り返していた。さらに認知症も発症。今年1月にはひざを骨折し、3月まで入院した。その後は寝たきりとなり、八尾被告はヘルパーの助けを借りながらも、ほとんど1人で世話していた。八尾被告や家族が加東市に介護について相談した回数は平成21年以降、34回にも上った。

 事件当日の4月5日には、これ以上1人で介護を続けることはできないと思い、子供たちに負担をかけないために殺害を決意した。自宅には、「精も根も尽きた」と記したメモが残されていたという。

 警察庁によると、介護や看病疲れを動機とした殺人事件(未遂を除く)は23~27年、全国で142件が立件された。そのうち容疑者と被害者がともに65歳以上だったのは91件で6割超を占める。

 団塊の世代が75歳以上となる37年には、65歳以上の5人に1人にあたる約730万人が認知症になる見込みとされる。

 介護の問題に詳しい淑徳大学の結城康博教授(社会福祉学)は近年、同様の事件で執行猶予となるケースが増えていると指摘した上で、「高齢になると、自ら情報を取りづらくなり、どんな介護サービスがあるのか知らずに孤立しがちになる。同様の事件を防ぐには、介護が必要な高齢者を自治体が責任を持って把握し、きちんとサービスに結びつけることで地域からの孤立化を防ぐことが重要だ」としている。

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