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【亀岡典子の恋する伝芸】ただ芸を継ぐのではない、歴史も含めて丸ごと背負う-「一期一会」の襲名披露公演

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【亀岡典子の恋する伝芸】
ただ芸を継ぐのではない、歴史も含めて丸ごと背負う-「一期一会」の襲名披露公演

襲名披露公演で三番三(さんばそう)を務める狂言師の十四世茂山千五郎さん=京都市左京区の京都観世会館(村本聡撮影) 襲名披露公演で三番三(さんばそう)を務める狂言師の十四世茂山千五郎さん=京都市左京区の京都観世会館(村本聡撮影)

感慨深く、清々しい「襲名」

 伝統芸能の世界で、もっとも大切な行事のひとつに「襲名」がある。

 能狂言をはじめ、歌舞伎、文楽、日本舞踊など、ほとんどのジャンルで「襲名」があり、祖先や師の名跡を継ぎ、その芸風や当たり役が当代に継承され、やがて次代へと受け継がれていく。

 伝統芸能の担当になってから、数え切れないほど「襲名」を取材してきた。いつも感慨深く、清々しい気持ちになり、取材しているこちらまで襟を正す、そんな気持ちにさせてくれるのが襲名である。

 9月18日、京都で、大きな襲名披露公演が行われた。大蔵流狂言、茂山千五郎家で当主が代わる「代変わり」があり、現当主の茂山千五郎さんが隠居名の「茂山千作」の五代目を、千五郎さんの長男の正邦さんが新しい当主となり、当主名の「十四世茂山千五郎」を襲名した。江戸時代から続く狂言の名家、千五郎家にとって、親子同時襲名は4回目を数えるという。

 襲名公演の当日、幕開きで、十四世千五郎さんは「翁(おきな)」の三番三(さんばそう)を、厳かに力強く勤め、「靱猿(うつぼざる)」では、大名を風格と愛嬌をないまぜにしながら演じ、新しい当主としての力量を存分に示した。一方、五世千作さんは「庵梅(いおりのうめ)」で愛らしい老尼にふんし、そこはかとないユーモアをにじませ、超満員の観客の喝采を浴びた。

 当日は千五郎家のファミリー総出でにぎやかに襲名公演を盛り上げ、結束の固さを誇示したように見えた。

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