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【デスクから】職場の笑い声も家族の健康も“奇跡の宝物”…紀伊半島豪雨から5年、悲しみの原稿で感じた日常の大切さ

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【デスクから】
職場の笑い声も家族の健康も“奇跡の宝物”…紀伊半島豪雨から5年、悲しみの原稿で感じた日常の大切さ

紀伊半島豪雨5年の追悼献花式で献花する遺族ら=和歌山県新宮市 紀伊半島豪雨5年の追悼献花式で献花する遺族ら=和歌山県新宮市

 「老けた?」。単身赴任の身のため、久しぶりに会った夫に言われてしまった。

 事件などが続き、睡眠不足で目の下にはクマ。最近は、いつもの服が急に似合わなくなり、白髪を染める回数も増えた。老眼も日ごとに進み、夫婦で眼鏡をずらしてスマートフォンを見る姿は、完全におじさんとおばさんだ。

 夫婦の会話も“老化”する。思いついたことを話し、適当に相づちを打つ。かみ合っているのかどうか分からない。でも、そんな日常もちょっと愉快で、いとおしい。

 今月、和歌山は多数の死者・行方不明者を出した紀伊半島豪雨から5年を迎えた。亡くなった母の作る卵焼きの味や、家族で囲む食卓のにおい…。犠牲者の家族たちは失われた日常に思いをはせる。現場の記者たちから届く原稿には、深い喪失感と悲しみ、そして残された人たちが支え合って生きていこうとする力にあふれていた。

 職場の後輩たちの笑い声も、家族の健康も、当たり前ではない奇跡のような宝物。楽しく老いていけるこの日常に感謝し、かけがえのない今を生きていこうと思う。(和歌山支局 田野陽子)

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