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【坂口至徳の科学の現場を歩く】脂肪肝の引き金タンパク質を初解明 阪大、「ルビコン」が体内の浄化「オートファジー」を抑制

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
脂肪肝の引き金タンパク質を初解明 阪大、「ルビコン」が体内の浄化「オートファジー」を抑制

脂肪肝発生のメカニズム 高脂肪食はルビコン(Rubicon)を増やし、脂肪を分解するオートファジーを抑制し、細胞死を促進する(大阪大学提供) 脂肪肝発生のメカニズム 高脂肪食はルビコン(Rubicon)を増やし、脂肪を分解するオートファジーを抑制し、細胞死を促進する(大阪大学提供)

 食生活が乱れ、食べ過ぎの状態が続くと、肝臓に余分の中性脂肪やコレステロールが溜まって脂肪肝になる。30歳代から40歳代を中心に人口の約3割が、その症状を持っているとされている。現在有効な薬物治療法はなく、ダイエットなどで過食を制限しないと、肝臓の中性脂肪などがどんどん増えて、動脈硬化など生活習慣病を起こし、その一部は肝炎(非アルコール性肝炎)から肝硬変、肝がんと重い病気になることがある。

 本来、生体内には、そうした病気になるのを防ぐ機構が備わっていることが明らかになり、注目されている。「オートファジー」と言われ、異常な状態の細胞質などを膜で包みこんだうえ、酵素(分解酵素)により溶かして浄化する仕組みだ。しかし、脂肪肝では、この機構の働きが抑制されており、どのようなタンパク質が、どのように関わっているか、詳細はわからなかった。

 そこで、大阪大学医学系研究科の竹原徹郎教授、吉森保教授らの研究グループは、オートファジーを抑制する「ルビコン」というタンパク質が、高脂肪の食事を摂ると増加することから、余計な中性脂肪などを除去できず、脂肪肝の病態を悪化させる原因であることを初めて突き止めた。「ルビコン」のコントロールをターゲットにした薬物治療の可能性もある。

 「ルビコン」は吉森教授らにより平成21(2009)年に発見された。オートファジーの仕組みは、まず、細胞内の不要物を、二重膜で包んで隔離してしまい、次いでさまざまな消化酵素を持つ細胞小器官(ライソゾーム)と融合することで、膜内の物質を分解する。ルビコンは、その最終段階の融合を抑制して機能を妨げることは知られている。

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