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【正木利和のスポカル】25年の歳月を経て新しく生まれ変った不死鳥カープ

 ホームだけではない。不思議なことに、敵地にも赤いユニホームを着た女性ファンが増えているのである。カープが16年ぶりにAクラスに入った13年から、横浜や神宮、東京ドームといった関東の球場にも女性客がつめかけ始めた。14年の5月には球団が関東在住の女性ファンにマツダスタジアムで応援をしてもらおうと、往復の新幹線代を負担する観戦ツアーを企画すると、約150人の定員に2300人あまりの申し込みがあったほどだ。

 ちょうど丸佳浩、菊池涼介、堂林翔太ら若くてイキのいい選手が現れ、彼らのひたむきなプレーがアンチ巨人の若い女性たちに受け入れられたせいだといわれている。

 女子の心をつかめばカネが動く。スタンドが華やげば、男たちが集まり、家族連れも増える。もちろん、それによって物販も動く。たとえば昨年のグッズの売り上げは35億円を超えた。

 ■新カープの誕生

 そうして活気づいていたところに、昨季、20億円の報酬を蹴って黒田が米国からもどり、さらに新井が阪神から帰ってきて、今季は黒田が200勝(日米通算)、新井が2000安打をマークするというオールドファンにとってこたえられないドラマも生まれた。

 ベテランたちの奮闘に、キクマルの活躍や「神ってる」鈴木誠也ら若手の成長がかみあった今季は、新旧ファンもまたベンチ同様、ひとつになって声援を送った。選手たちは、それに勝ち星の半分以上を逆転で飾るという執念で応えた。

 緒方孝市監督の胴上げを見ながら思ったのは「新しいカープが生まれた」ということだった。

 歌人・斎藤茂吉はかつて、原爆で破壊された広島の町が復興していくさまをこう詠んでいる。

 《灰燼(かいじん)のなかより われもフェニキスと なりてし飛ばん 小さけれども》

 オバマ米大統領が広島を訪問した歴史的な年、かつて原爆投下から復興のシンボルとして立ち上がったカープは、最後の優勝から25年という長い歳月を経て、また新しく、しなやかに生まれ変わった姿を見せながらフェニキスのようによみがえった。

正木利和 正木利和 産経新聞文化部編集委員。大阪新聞から産経新聞社会部、運動部、部長を経て現職。運動部歴25年目となった一昨々年の秋、念願かなって美術担当に。好きなものは以下の通り。富岡鉄斎の絵、ジャランスリワヤの靴、よく墨のおりる端渓硯(たんけいけん)、勇敢なボクサー、寡黙な長距離走者、「水曜どうでしょう」について語り合うこと。当コラムは、スポーツの話題にときどきカルチャーを織り交ぜて、「スポカル」。以後、おみしりおきを。

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