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【紀伊半島豪雨5年】「十津川の魅力知って」 大阪から情報発信、故郷を支援 上垣隆幸さん

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【紀伊半島豪雨5年】
「十津川の魅力知って」 大阪から情報発信、故郷を支援 上垣隆幸さん

奈良県十津川村の魅力を発信し続けている上垣隆幸さん 奈良県十津川村の魅力を発信し続けている上垣隆幸さん

 祖父の故郷・奈良県十津川村を襲った紀伊半島豪雨から5年。大阪府八尾市の美容師、上垣隆幸さん(52)は「村の魅力を知ってほしい」とインターネットでの発信を続けている。発生翌月の2011年10月に1人で始めた復興支援が周囲にも広がり、徐々に仲間が増えてきた。

 発生の1~2週間後に訪れた被災地は、豪雨災害の傷痕が生々しかった。美しかった山や川、人々の家はぐちゃぐちゃに。親戚の顔からは笑顔が消えていた。

 上垣さんの祖父は昭和28年に村で起きた水害で川に流され、亡くなった。遺骨は見つからず、祖父は写真でしか知らない。「十津川をなんとかせい」。帰り道、聞いたことがないはずの祖父の声を耳にした気がした。

 「笑顔を届けたい」と知り合いの落語家に頼んで被災地の旅館などで寄席を開き、災害後に始めたツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)では十津川温泉をはじめとした観光の魅力を発信した。

 支援を続けるうち、賛同する仲間も増加。自作の観光パンフレットを置かせてもらった八尾市の飲食店などが十津川で収穫される名産品のキノコを共同で仕入れるようになり、今では複数の店でメニューに並ぶ。「いろんな人と縁ができて、応援してもらえるようになった」

 毎日更新するSNSでは「災害が起きた村」とのイメージが払拭されないままになることを懸念し、豪雨災害や復興の話題を取り上げることはない。だが毎年9月初めの1度だけ「忘れてほしくない」との思いからあの日のことをつづってきた。今年は十津川村の七色地区から役場まで約20キロを慰霊の思いを込めて歩く様子を書くつもりだ。

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