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【紀伊半島豪雨5年】妻と長女を亡くした那智勝浦町長 背中を見つめた長男の決意…復興誓う親子の絆

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【紀伊半島豪雨5年】
妻と長女を亡くした那智勝浦町長 背中を見つめた長男の決意…復興誓う親子の絆

寺本真一町長(右)と並んで手を合わせる長男の圭太さん。最愛の家族を失いながらも、責任を背負い、復興に尽くす父の背中を見つめてきた=4日、和歌山県那智勝浦町 寺本真一町長(右)と並んで手を合わせる長男の圭太さん。最愛の家族を失いながらも、責任を背負い、復興に尽くす父の背中を見つめてきた=4日、和歌山県那智勝浦町

 地元に戻った圭太さんは、早希さんが眠る棺の前で、静かに涙を流す父の姿を見た。しかし、役場や押しかける報道陣の前では、父は毅然として、決して涙を見せなかった。

「圭太がいて、乗り越えられた」

 「父のような強い大人になりたい」。圭太さんは豪雨から2年後、アメリカ留学を決めた。父には「やりたいようにやりなさい」と、そっと背中を押してもらったという。ロサンゼルスで3年学び、経営学修士(MBA)を取得した。

 今年3月から、札幌市のスポーツ用品店で働き始めた圭太さんは、初任給で父に紺色のウオーキングシューズをプレゼントした。「これを履いて歩いて、元気に長生きしてほしい」と伝えた。

 月数回、その靴を履いて体を動かすという寺本町長は、「復興まで、体力を維持したい。この5年間の苦しい時期を乗り越えられたのは、圭太がいたから」と話す。

 慰霊祭前日の3日夕には、2人で墓参りに出かけ霊前にこう報告した。

 「圭太も立派に成長した。安心して見守っていてくれ」

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